カテーテル室に来なければ良かった
私はカテーテル室に配属されて5年になるが、配属されて間もない頃、急性心筋梗塞で意識レベルの悪い患者さんの緊急カテーテルにつくことになった。
自分の不安感・緊張感から表情は固まり、チームプレイを考えるのでなく「自分で全てやらなきゃいけない」と思い込み周囲に助けを求められなくなった。
他のスタッフからの助けも自分から拒絶するような雰囲気を出していたのだろう、ある看護師から「あなたのその独りよがりの行動が、患者の命を奪うんだからね!」と言われたのは、ショックだった。
「みんなは、助けてくれない。一人でやりきらないと。」と、まさに独りよがりの考えに捉われていて、人間関係自体も苦痛になっていった。
いつも明るく周りと協力している同僚
その時、自分をもう一度見つめ直したきっかけを与えてくれたのが、いつも自信に満ちた笑顔を見せてくれる同僚の看護師だった。
その人の傍にいると安心した雰囲気になれ、医師・臨床検査技師・放射線技師からの信頼も厚かった。
それでも最初は、「俺は男だし、彼女は女性で器量がいいから、得だな」と、友好的な人間関係の構築を諦めていた。
しかし、その看護師は積極的に他職種に話しかけており分からない時は謙虚に周囲に尋ねて楽しそうだった。
私がその同僚に「なぜ、いつも楽しそうに働いているの?」と尋ねると、彼女は「嫌な雰囲気で働きたくないでしょ。自分で出来る事をすればいいのよ。」と答えてくれた。
自分の顔がガチガチな事に気づく
私は、今ある環境は変えられず、自ら友好的な人間環境を作れるとは考えていなかった。
しかし、何ができるかと考えたとき、自分の自信のなさからイライラした雰囲気を出さないように落ち着こうと思った。
謙虚に自ら他者に話しかけチームの支えになりたいと日々の業務に向き合うようにした。
ある時から、緊急カテーテルの時は「赤澤さんが担当なら安心だ!」と、医師・臨床検査技師・放射線技師や同僚の看護師に言われるようになった。
何故かと聞くと、「楽しそうに働いているし、私たちも緊張しない。」と話してくれた。
その時、人間関係が辛いと感じていたのは、自分が壁を作っていたからだ。と気づく事ができた。
他職種を含むチームで働くにあたって
それから5年が経過し、今私はチームリーダーの役割を担っている。
あの頃は、業務を自分一人で全てこなさないと一人前でないと考えていた。
今は、自分一人の力は限られるし周りの人の力が大切だ。
その為には、お互いに話しやすい環境を整えるように取り組んでいる。
その為に気を付けているのは、自分の顔の表情一つが職場の働きやすさに影響する事を考えるようにしている。
勿論、オジサンの顔に魅力はないし常にニコニコしている表情にはなれないが、焦ってイライラした顔より、落ち着いた(少しの笑顔も足して)表情の方が、他者とお互いに協力しながら働けることを実感している。