先生のお話

看護師としての私のキャリア〜診療看護師(NP)という選択〜

  • 東京医療保健大学

  • 東が丘看護学部・看護学科

助教 / 診療看護師

関口 奈津子

セキグチ ナツコ
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キャリアプランは持つべきか?

皆さんはキャリアプランを持っていますか?

キャリアプランというと一般的には、将来像を描き、その目標に向かって計画を立てて進んでいくというイメージでしょうか。

よくキャリアプランや将来の目標を立てた方がいいと言いますが、私自身は看護師になるという目標はあったものの、それから先のことはあまり考えていませんでした。

というよりも、何がキャリアアップなのかもよく分かっていませんでした。
役職が上がることなのか?年収が上がることなのか??
キャリアアップというより、看護師としてのスキルの習得と探求に夢中であった気がします。

看護師から大学院へ

看護師となり就職した当初は目の前のやるべきことで精いっぱいでした。
徐々にできることが増え、ひとつひとつの業務や看護にも疑問を抱くようになり、リーダーを担うようになった頃には、目の前の患者さんが苦しんでいる時に医師を待つことしかできないもどかしさと悔しさを感じるようになりました。

患者さんの出す様々なサインにいち早く気づいて重症化が防げるように、また医師に迅速に対応してもうため状況を的確に伝えられるように、思考力と判断力を強化してもっと患者さんに応えられる看護師になりたい、という思いで大学院の診療看護師(NP)※コースに進学しました。
※日本NP大学院協議会による名称

自分と向き合った大学院生活

著作者:tirachardz/出典:Freepik

大学院では2年間で62単位を取得する必要がありました。
病態生理学、フィジカルアセスメント、薬理学を中心に臨床推論などの専門科目や、医療安全などを講義のみならず演習や実習を通して学びます。

医師や経験豊富な診療看護師から指導を受けるわけですが、医学知識や論理的に考える力が圧倒的に不足していることを痛感し、自分と対峙する修行のような2年間でした。

さらに私の進学した大学院は全日制であったためこの間収入はないし、睡眠時間も削られる過酷な日々でしたが、好奇心旺盛な私は、欲していたものに出会えたワクワク感と多くの学びが得られる充実感で乗り越えることができました。

診療看護師(NP)、そして教員へ

大学院修了後は診療看護師として再就職し、多くのサポートを受けながら診療看護師の役割開発に取り組みました。

実際は循環器内科に所属して医師の指導のもと活動していたわけですが、その中で医師や看護のみならず多職種の役割や限界も見えるようになり、それらを調整して患者さんに安全で継続した医療を提供することが私の使命だと感じ、私なりに見えた課題に取り組んできたつもりです。

理想と現実は違うもので、私にできることはそう多くはありませんでしたが、様々なチャンスもいただき、いただいたチャンスは好き嫌いに関わらず何でも取り組んでみました。

その中でさらに夢中になれる分野に出会い次のステップを考えていたところ、母校の教員になる機会を頂き、現在に至ります。

将来に対してオープンマインドに

私自身は明確なキャリアプランは持たず、悔しさやもどかしさが原動力となり、好奇心と行動力でその時々の課題に取り組んできたタイプです。

Society5.0に向かいつつある現在、時代や環境はものすごいスピードで変化しています。
キャリアに関しても計画したゴールがあるとは限りませんし、逆にこれまでになかった価値や働き方が生まれてくるかもしれません。

私自身これからも、大切にしたい軸は持ちつつもそれにとらわれすぎず、将来に対してオープンマインドに挑戦を続けていきたいと考えています。