先生のお話

マグネット認証について

  • 聖路加国際病院

  • 放射線科

看護師

大矢智美

Oya Tomomi
TOP/Column/マグネット認証について

自己紹介

皆さん、初めまして。

私は聖路加国際病院の放射線科に所属している看護師の大矢と申します。

突然ですが、皆さんは「マグネットホスピタル」という言葉を聞いたことはありますか?
今日はマグネットホスピタルについてお話します。

マグネットホスピタルについて

当院は2019年に日本で初めてとなるマグネット認証を取得しました。

マグネット認証とは米国看護師センター(以下ANCC)が看護の卓越性および質の高い患者ケアを提供する医療機関を認証するものであり、「マグネット」という名称は、看護師を磁石のように引き付けて離さない魅力ある医療機関という意味で使われています。

ANCCはマグネット認証を受ける病院を構成するコアな特徴としてマグネットモデルというものを示していますが、これは構造的エンパワーメント、模範的専門実践、新しい知識・イノベーションおよび改善、変革的リーダーシップの4つが大きな柱となって作られています。

一つ一つの要素が職員により実践されるのはもちろん相互的に関連し合い質の高い看護実践に繋がるという考えに基づいています。

当院がマグネット認証を取得するまで

当院がマグネット認証を取得するまでには看護部長のもと看護部全体で5年以上の準備期間がかかりましたが、最初から職員全員がマグネット認証とはなにか、なぜ取得を目指すのかを理解できていたわけではありませんでした。

しかし取得を目指す中で、当院の長い歴史の中で育まれていた看護師のホスピタリティ、自律心や向上心、患者さんに最良のケアを提供するための積極的な改善活動に加えて、これらの活動を数値化し客観的に示していくことの重要性、自分達の提供している看護を互いに称賛しあえる文化の定着という新たな考え方が徐々に浸透していきました。

当院が取り組んでいる事

マグネット認証を受けた当院が現在積極的に取り組んでいることに患者満足度の向上があります。

マグネット認証取得を通し、患者さんのニーズを捉えようとする私たちの意識は格段に上がったと感じています。

私の所属する放射線科では一日約500人の患者さんが検査を受けに来ますが、5分で終わるレントゲン撮影もあれば画像ガイド下で行う侵襲的な処置もあります。
その全ての患者さんが安全で安心・安楽な検査・処置を受けられるようスタッフ一丸となり満足度の向上に取り組んでいます。

また毎月の部署ミーティングでも自分の看護実践と患者さんの反応などを同僚と振り返りお互いの良いところを賞賛しあう、その上で、部署全体で更なる改善を検討していくといったことが日々行えるようになってきました。

さらに私個人としても日々の業務に追われてしまう中でも外来を歩く中で積極的に患者さんに声かけを行うようになりました。

当たり前のことではありますが、患者さんからすると医療者が自分を気にかけてくれる、自分の思いを聞こうという姿勢を持っているのといないのでは全然違うのではないでしょうか。

自らも体調が悪くなれば病院を受診することもありますが、そんな時に辛い気持ちを理解しようとしてくれる声掛け、待ち時間が長くなってきた時に見通しを教えてくれる、もう少しですよと声をかけてくれる。そういったきめ細やかな配慮が心に沁みるものです。

こういったことを常に意識しながら日々の業務にあたれるようになったことこそがマグネット取得がもたらした変化なのではないかと私は考えます。

超高齢化社会が加速し続ける中、外来看護師の果たす役割は更に大きくなっていきます。

質の高い看護の提供とともに患者さん1人1人に寄り添っていくことが私たち外来看護師の役目であり自らの存在意義を高めていくことに繋がるでしょう。
今後もその一端を担っていきたいと考えています。