先生のお話

慢性心不全看護認定看護師 知っていますか?

  • 東京医科大学病院

内科外来主任         慢性心不全看護認定看護師

長村 生野

オサムラ イクノ
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循環器って難しい‼って思っていませんか?

『心電図難しい、循環器は急変するから怖い』等、苦手意識を持っている方、多いですよね?
わかります(笑)
でも、心電図や心エコー等を勉強すれば病態把握できるわかりやすい分野なのです。

心不全ってよく聞くけど、説明するの難しいですよね?
心筋梗塞や弁膜症、心筋症、不整脈を治療しても心機能は元の状態には戻らず、徐々に悪化します。心機能悪化に伴い生じる症状全てが心不全です。
悪化した心機能に沿った生活をしなければ、心不全増悪を繰り返します。心不全増悪因子の76%は塩分水分過多・感染症・過労・怠薬等です。つまり、療養指導で行動変容し心不全増悪因子を改善できれば心不全増悪を予防できます。

私が認定看護師資格を目指したきっかけ

私は入職時、救命センターに配属され様々な急性期疾患を経験しました。特に循環器は勉強すればするほど奥深く、興味深い分野でした。
その後、環器内科病棟へ異動し心不全患者の看護を経験し心不全療養指導の重要性や必要性、難しさを感じました。

そんな中、塩分水分制限、運動療法等、私の伝えたことを忠実に守っていても、心不全増悪入院を繰り返す患者様に出会いました。

なぜ心不全を繰り返すんだろう?どうすればいい?何が足りないんだろう?

自問自答していた時期に、慢性心不全看護認定看護師分野の新規追加が発表され、『〇〇さんのために、一から勉強してきます!』と慢性心不全看護認定過程の受験を決めました。

認定看護師になって学んだこと変わったこと

2012年新規開設された慢性心不全看護認定過程に合格し6ヶ月間の学生生活を経験しました。
久しぶりの座学、課題、試験、実習は大変でしたが、志を共にする同期と勉強する日々はとても楽しかったです。認定同期とは今も連絡を取り合い、刺激を受けています。

認定看護師になり大きく変わったのは私自身の考え方です。
以前は『指導したのになぜできない?指導が悪い?』と悩んでいました。しかし、健康行動理論を学び行動変容の難しさを知り、患者様が行動変容できるまで待つことができるようになりました。
塩分水分制限を守れない患者様を『できない患者』と表現するスタッフにも、行動変容の難しさを伝えています。

慢性心不全看護認定看護師の役割

認定看護師には『実践・指導・相談』3つの役割があります。
心不全療養指導の『実践』、定期的な専門領域研修による『指導』、カンファレンス時、患者理解や心不全療養指導に関して『相談』を受けます。

心不全療養指導は心不全増悪因子を特定し食事療法、内服管理、運動療法等を患者の病期や理解度に合わせ実施します。そのため、看護師や栄養士、薬剤師、心リハ指導士等、多職種連携が不可欠です。
しかし、職種毎に大切にしていること、専門的な介入ポイントが異なることも多く、情報共有や連携が重要になります。慢性心不全看護認定看護師として心不全患者情報を共有し多職種が連携して介入できるよう調整していきたいです。